お知らせ

蜘蛛の糸<下>

 

 ふと上を見ると、一すじの細い蜘蛛の糸が、光りながら下りてきます。カン ダタは思わず手をたたいて吉びました。

「この糸にっかまってどこまでも昇っていけば、 きっと地獄を抜けだして天上界まていけるだろう」

 カンダタは、さっそくその蜘蛛の糸を両手て握りしめ、上へ上へと昇りはじ めました。地獄と天上界は空と地よりも離れています。いくら昇っても、まだ まだ見えてまいりません。ぐったり疲れたカンダタは、ひと休みしようとはる か下を見下ろしました。するとどうてしょう。カンダタのあとを、何百、何千という罪人が、真っ暗な血の池からうようよと昇ってくるではありませんか。

 どうにかしなければ糸が切れてしまう、そう思った瞬間カンダタは叫びました。

「コラーッ、お前たち。この糸はおれのものだ。さっ さと手を離せ」

 そのとたん、蜘蛛の糸はカンダタの手のすぐ上で、プツリと音を立て切れてしまいました。カンダタは、コマのようにクルクルまわりながら、もといた地獄の血の池へまっさかさまに落ちてしまいました。

 

 お釈迦さまは空の上から、悲しそうなお顔てすべてをご覧になっておいででした。自分だけが地獄から抜け出そうとしたカンダタの無慈悲な心を、お釈迦さまは、なんとも浅ましくお思いになったのてございましょう。