お知らせ

黄金の毒ヘビ

2023.09.15

ひろい野原のまんなかに、一本の大きな樹がそびえ、真夏のお日さまがそこにだけ影をつくっています。その太い枝に貧しい身なりをした働くことのきらいな一人の男がまたがっていました。幹に背中をもたれさせ繁みのなかに身をかくして暑さをさけています。ウトウトとして、 なんとも心地よさそうです。 そこへ立派な身なりをした涼しげな二人づ れが通りかかりました。そのうちの一人が、ふと立ちどまり、「あれ、あれをごらん。 ....

おいしい水

2023.08.15

 背中に大きな瓶を背負い、まえかがみにな ったひとりのおばあさんが、峠の道上ってきます。美しい青葉のすきまから、初夏のお日さまが、おばあさんの日焼け顔のシワのみぞに汗をにじみださせています。 息をはずませ峠にたどりついたおばあさんは、背負った瓶をおろし「ウーン」と背のびをし、トントンと腰をたたいて木の根っこに「ヨイショ」とを腰をおろしました。 峠のふもとには息子が住んでいます。 頑固 で元気な ....

二匹の鬼と少年

2023.07.15

 ここはインド、マツラ国の城下はずれに両親と一人の少年が住んでいました。お父さんはお役人で、お母さんはとても美しくやさしい人でした。 少年は生まれたときからとても可愛がられて育ちました。とくにお母さんに支えられてよく勉強をして、両親には心配などかけたことのない、とてもよい子でした。 その少年がある日のこと、一人で街へでかけました。いつもお母さんといっしょなので少し不安でしたが、なんとなく浮きうきし ....

熊とサソリと樵人(きこり)

2023.06.15

 ヒマラヤ山脈のふもとに一人の貧しい男がいました。まいにち山に入って樹を切り、薪にして街へ売り歩き、わずかばかりの金と替えてほそぼそと暮らしていました。 あるとき、いつものように縄と斧をもって山に入りました。夢中になって樹を切り枝を落していると、とつぜん大きなサソリがゴソゴソとやってきました。それをみてびっくりした樵人は「ひャーッ」と叫ぶなり、縄も斧もそこに捨てたまま走りだし、大きな樹をみつけてよ ....

宝の持ち腐れ

2023.05.15

 むかし、おじいさんとおばあさんがいました。二人はいつも寄り添い、静かに暮らしていました。 おじいさんの仕事は森にはいって、細い木を倒し、みじかく切ってそれを束ねて街へ売りにいきます。 わずかなお金を手にして、それでもおばあさんは不足をいわず、おじいさんを支えて仲よく暮らしています。 そのおばあさんが、ふとしたことから病にかかり、あっというまに亡くなってしまいました。おじいさんの悲しみは、たとえよ ....

天女の”まばたき”

2023.04.15

 むかし、ひとりのすこし智恵のたりない男がいて、人のものを盗んでは遊びにふけっていました。 しかし、何といっても馬鹿であったため、街の人びとは相手にしませんでした。 あるとき男が街を歩いていると、「お経のなかには、天女のまばたきはとてもおそく、人間はとてもはやいと説かれてあります」と、説いている坊さんの声が、聞くともなしに耳にはいりました。しかし、もともと馬鹿であるため別に意にもとめませんでした。 ....

放浪する少年

瓶のなかの自分

二人の自分

おとことそのおかみさん

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