10月
2025年
八品所顕とは
私たちがいつもお唱えしているお題目。そこに込められた深い意味を知っておきましょう。
私たちは、ふだんはあまり物事を深く考えずに生きています。
ですから突然人から何か質問されると、なかなか答えることが難しい。そういうことはよくあります
例えば、こういう質問です。
「私たちがお題目をお唱えするときに『本門八品所顕上行所伝本因下種の』という長い一文を入れてお唱えしますよね『なんで?』」
(※NHK番組のチコちゃん風に聞いてみました。では、答えをチコちゃん風に言います)。
「私たちが『本門八品所顕上行所伝本因下種の』という長い一文を付けるのは(一息おく……)、
『奈良の奈良漬け』と同じだからぁ……」。
おわかりでしょうか?解説をいたします。
奈良漬けは、もともと奈良でできた物ですが、京都や大阪でも作られるようになりました。
それで、正当性を訴えるために「奈良の奈良漬け」という言い方ができました。
それと同じで、私たちのお唱えする南無妙法蓮華経は「他の門流のお題目とは違う」
ということを明らかにするために、長い一文をあえて入れて、お題目をお唱えしているのです。
では、「本門八品所顕」とは、どういうことでしょうか。
「本門八品」とは、法華経の「従地涌出品第十五」から「嘱累品第二十二」までの八章です。
ここには、「上行付嘱」が説かれています。「上行」とは「上行菩薩」のことです。
お釈迦様は、五百塵点劫という、「久遠」と呼ばれる遠い過去、まだ仏様になる前に、
菩薩として「南無妙法蓮華経」の修行をされていました。
そのときの最初のお弟子が上行菩薩です。
この上行菩薩をはじめとする人たちは、久遠の昔からずっと退転せずにお題目を修行しています。
この弟子たちを、「本化の菩薩」「地涌の菩薩」といいます。
この本化の菩薩たちは、法華経の本門八品だけにしか登場しません。
そして、その法華経の本門八品には、こういうことが説かれています。
・仏さまが亡くなられて、二千年が経過すると、「末法」という大変な時代に突入する。「その末法の人々」を救うには
普通の教えではダメで、特別な教えしか効力を発揮しない。その特別な教えが、「南無妙法蓮華経」のお題目である。
・末法にお題目を弘めることはとても大変なことで、誰でもできるものではない。
その特別な使命を、上行菩薩をはじめとする本化の菩薩たちにお授けになった。これが「上行付嘱」である。
このことは、御聖人の一番重要な御書『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』に書かれています。
この本門の肝心・南無妙法蓮華経の五字においては、
仏なお文殊・薬王等にこれを付嘱し給わず。
いかに況やその已下をや。
但だ地通千界を召して、八品を説いてこれを付属し給えり
今後、お子さんやお孫さんから、「なんでお題目をお唱えするときに、わざわざ『本門八品所顕上行
所伝』ってつけてお唱えするの?」と聞かれたら、ぜひこう答えてください。
「それはね……、私たちのお唱えするお題目は、御聖人が仰っているとおりのお題目なんだ、そのことを
ハッキリさせるために、お読み上げをしているんだよ。まぁ、一緒にお題目をお唱えしていけば、
いずれわかるよ。頑張ってやっていこう!」と。
お互い様に自信をもって、この本門八品のお題目のご信心に励んでまいりましょう。