今月の教え

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2026

日蓮聖人と阿仏房

遠方より御聖人を訪ねた阿仏房の求道心と、その熱意に真摯に応えられた日蓮御聖人の慈悲心を学びましょう。

皆さんは、日蓮聖人が佐渡に流罪になったことは、ご承知だと思います。
御聖人は流刑の地でますます法華経の行者としての自覚を深め、強力なご信者を増やしていかれました。

なかでも阿仏房という人は、すごい人です。
五年間で三回も身延の御聖人に会いに行かれました。
最後の登詣となった三回目は、九〇歳だったといわれています。

阿仏房は七月六日に佐渡を発ち、二七日の夕方に身延に到着しています。
片道二一日間、往復では四〇日以上です。四〇日働かなければ、経済的にも大変です。
これだけでも、いかに佐渡のご信者の思いが強いか、おわかりいただけると思います。

弘安元年(1278)七月二七日午後四時ごろ、まぁ夏の夕方です。
書き物をされていた御聖人が、ふと外に目をやると、ふだんは誰も来ない身延の草庵に遠くから一人の老人が近づいてくる。
それは、佐渡で身の危険もかえりみず懸命に食料を届けてくれたあの阿仏房だったんですね。

きっと御聖人は、大きな声をあげて出迎えられたことでしょう。
二人の再会の場面は、御書にはこう書いてあります。

「奥方はご無事ですか。また同じく佐渡のご信者である国府入道殿はお元気ですか」
「はい、二人とも元気です。残念ながら国府入道は、途中まで私と一緒に来たんですが、稲の刈り取りが近づいており、代りに働く子もいないので、仕方なく帰っていきました」
到着が夕方四時ごろです。それから一緒に夕飯を食べ、さまざまなお話をされたことでしょう。

このとき阿仏房は、奥さんの千日尼から御聖人宛ての手紙を携えていました。
その手紙には「女人成仏」についての質問が書かれていました。
その質問に対して御聖人は、なんとその日の夜から回答を書きはじめます。
遅くまで阿仏房と語り合い、老齢の長旅に疲れてか、阿仏房が先に寝てから、一人筆をとられたのでしょう。

お手紙といっても、ご信心の質問に答えるわけですから、やはり時間はかかります。
書き上げたときは、二四枚にわたる長いお手紙になっていました。
きっと夜を徹して書かれたのでしょう。

お手紙の日付は、最初は七月二七日と書かれていました。
しかし、実際に書き終えたときには、もうあたりは明るくなって、すでに翌日になっていた。
ですから二七日を、上から二八日と書き換えられたことが、ご真蹟を拝見するとわかります 。

阿仏房は御聖人のもとで一泊だけして、翌日には佐渡へ帰らなくてはなりませんでした。
農作業が、待っているんですね。

たった一泊のために、往復四〇日以上を費やして身延の御聖人を訪ねた阿仏房。
その阿仏房と夜遅くまで語り合い、さらに阿仏房の情熱にえて徹夜でご返事を書かれた御聖人。

私はこの話を思い出すたびに、「私たち御聖人の信者も、誠実でなくてはならない」と思い、自分を励ましています。

本日は阿仏房という堅信なご信者と、またそれに対して誠実に向き合う御聖人のお話をご披露させていただきました。

私たちも、御聖人の弟子であり信者です。皆さん、どうか御聖人の思いを受け継ぎ、正法の清流に列なる者として、ともにご信行に励んでまいりましょう。

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